2018年07月06日

決意を抱き続けるんだ。

お陰様で『夢の裂け目』の全ステージが幕を降ろしました。

ご来場下さいましたお客様、関係者の皆様、本当に本当にありがとうございました。



同業者から、またはインタビューなどで良く質問される

『一緒に仕事をしたいクリエイターは誰ですか?』

という質問に、俺は必ず

『栗山民也さんです』

と答える。


すると

『栗山さんの演出はどういう感じですか?』

と聞かれるので今度は

『魔法のように演出しますよ』

と答える。


なんのこっちゃですね。



今まで出会った演劇人の中で

『ああ、この人は魔法使いなんだな』

と思った人が三人いる。


一人目は串田和美氏。

この人の魔法はなんというか魔術に近い感じで、その魔法にどんな代償や制約があるか分からないままその魔法実験に付き合わされて、気が付いたら訳の分からん素敵な体験をしちゃってる、というもの。

全く、タチの悪い魔法使いなんです。


二人目は柴幸男氏。

彼の魔法はキラッキラで、とにかく楽しいに尽きる。

それは一緒に創作をしていてもだし彼の作品を観てもそう。

気が付くとそのキラッキラに包まれていてなんとも温もりのある演劇体験に連れて行ってくれる。

演劇界の白魔道士と言える。


そして三人目が栗山民也氏。

この人の魔法は何と言うか、凄いに尽きる。

物凄い速さで演出をつけていき、こちらが果たしてこれで良いのだろうか?という疑問を解決出来ないまま先へ先へと進んでいく。

そんな不安や疑問を何とか払拭出来た頃にはもう初日で、ええい侭よ!と舞台に立つと、つけていただいた演出が悉くお客様に突き刺さり最高の演劇体験に繋がる。

気が付いたら面白い演劇が完成しているという、手品のような演出をする魔法使い。



この栗山さんの『魔法』が何とも鮮やかで、俺にはとてつもなく居心地が良いのだ。

やることなすことを絶対に否定しないし、こうしろああしろと決めつけないし、こちらから出て来るものを尊重した上で更にどうすればもっと面白いものが出て来るか共通言語を探り続けてくれる。

潤沢に時間があろうがなかろうが、いつでも毅然とした態度で演劇作品の『完成の線』をビシッと引いてくれる。

そうして板の上に立つと、台詞や動きや台本がお客様に響いて、笑い、泣き、ハッとし、暖かい拍手へと繋がっていく。

それを受け取ってこちらは、ああこれで良かったのかと、実感の無さや疑問を持ち続けることの尊さを知ることになる。


ただただ『演劇』をやれば良いだけの環境を、栗山さんは創り出してくれる。


だから俺は何度でも、この方の演出を受けたいと思う。


そしてそれが、栗山さんの最大の魔力なのだろう。


『夢の裂け目』の夢の裂け目を、お陰様で堪能しました。

また必ずやどこかで。



DULL-COLORED POPの谷賢一が、ツイッターで呟いていた『芝居で飯を食えるようになる』ということに関する話、俺もちょうどそんなようなことを考えていた。


ただ俺は彼と違ってプレイヤーだし、少しだけ違う話になるかもだけど。



要は『覚悟』と『決意』の有無なんだと思う。

実際食えているかは分からないけど、それらがある方々の芝居にはやはり圧倒的に目を惹かれる。

と言うか、なんかおもろいすげー人だなーって人は大体みんな覚悟と決意が違う。


柿喰う客に居て良く考えるのは、劇団員のことを尊敬したい、尊敬出来るか、ということ。

その尊敬ってのは何なのかと言うと、覚悟と決意の部分が大多数を占める。

そしてそれは結局、劇団に限らず様々な現場で思うことで、覚悟と決意がある人とは一生付き合っていきたいし、もっと知りたいもっと知られたいと思うのだ。


これが多分だけど谷賢一も言っている『言い続ける』の部分に通ずるんじゃないかと思う。


言葉を操る仕事だから、言霊ってやつに敏感です。

言い続ける覚悟と決意。

現し続ける覚悟と決意。

貫き続ける覚悟と決意。


覚悟と決意。

それが演劇の命運を分ける。



SEMINARで初めて栗山さんの演出を受けて以降、所々で度々、栗山さんとまた仕事がしたい、一本でも多く栗山さんの創る舞台に立ちたいと言い続けていました。

その結果が『夢の裂け目』なんだと、信じて疑ってません。


この世は魔法と、覚悟と決意に満ち溢れている。

何を馬鹿なそんなファンタジーじゃあるまいし、と思うでしょう。

でも実際俺は演劇で、そんなファンタジーな想い沢山させていただいてます。


あとは自分次第ですよ。

そんなもんですよ演劇って。


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posted by 玉置玲央 at 22:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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