ある人から言われた言葉がじっとりと張り付いていてここ5、6年はそればかりを考えていたし、自問自答して来た。
演劇に携わりながら。
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『自分のお芝居は自分の為だけに使いたい』
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俺は全く逆の思考回路だったので目から鱗が落ちる思いだった。
お芝居に携わる全ての人は、誰一人として自分の為にお芝居やっている人なんて居ないと、信じて疑ってなかった。
ずっと考えてる。
お芝居が好きという気持ちは変わらないのに、お芝居で袂を別つことになるのは悲しい。
その悲しさに多少の免疫はあるつもりでいたのだけど、ずぶりとそれが刺さって棘というよりはもう杭で、悲しい。
価値観を変えてくれる存在はいつだって尊い。
お芝居なんでやっているのかの理由の一つ、誰かがこの価値観をぶっ壊してくれるその快感を知っているからだ。
そこから新しい何かを取り込んで再構築して少しずつ馴染んでいく段階は、雪の日のまだ誰の足跡もついてない雪道を独り占めする時と同じくらい快感だ。
だから、自分が携わるお芝居を観に来て下さったお客様には同じ思いをしてもらいたい。
演劇で、演劇なんかで、たかが演劇で、人ひとりの人生がぶっ飛んでしまう狂う。
そんな体験をいつだってしたいしさせたいのだ。
でもこれは実は、誰のためにお芝居をやっていたとしても関係ない。
なぜなら答えを持っているのは発信する側じゃないからだ。
どんなに祈っても願っても尽力しても、判断は受け取ってくださる方に委ねられている。
だから演劇は平等だ。
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ずぶりと杭になっているのはその可能性を感じているからだ。
受け取ってくださる方の反応が同じならばその過程は発信者に委ねられる訳で、そうなってくると恐らく、自分という存在は自分の為だけに費やした方が良いのだ。
なぜか。
この仕事は消耗が激しい。
何人もドロップアウトしていく人たちを見てきた。
死ぬその瞬間ギリギリまでお芝居を続けたい場合、その消耗を最小限に抑えるか、取り戻しながら続けられるような演劇生活を営まなきゃいつか潰れてしまうかもしれない。
それを避けるには、自分をきちんとケアして護って、自分。
自分に自分を費やすことを徹底しないと、簡単に潰れてしまう予感がしてきたからだ。
誰だって悲しい思いはしたくない。
棘ではなく杭なのは、簡単には抜けないからだ。
自分の中でぶっ壊れ再構築され馴染んでいってる価値観と共に、今になってその言葉の意味が良く分かる。
だから頭の片隅にずーっとある二律背反で。
人の為のお芝居。
自分の為のお芝居。
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でもね、結論出ました。
あっさりと。
俺はもう徹底的に誰かの為にだけ生きることにしました。
なんでそういう結論に至ったかってのはまたいつか話せればいいなと思うけど、もう迷わないです。
見返りも労いもいらなくてもうただただ、自分の為に生きることは放棄して、演劇で、誰かの為に生きていきます。
裏切られたりボロ雑巾みたいになっても全然良い。
そう思えることに出会えたので。
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という、宣言のブログでした。
小柳心に感化されて、やっぱりなるべくブログ更新しようってなった。
心くん、本当にありがとう。
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否定したいんじゃなくて、こんなにも沢山の人に支えられて生きているのに、俺は俺のことだけ考えて生きていくのは無理です。
俺は俺の演劇で誰かを支え続けたい。
誰かに影響し続けたい。
誰かをぶっ壊したい。
誰かの新雪を踏みしめる、最初の一人に、なりたい。
なりたいのだ。
初めまして。
emaLATTE(エマラテ)と申します!
先日、「舞台 鉄コン筋クリート」を観劇した際に、玉置さんのことを知り、玉置さんの演技に心を奪われました。
大人になってから、初めて、自分でお金を払って観た舞台でしたが…本当に、本当に本当に、素晴らしかったです!!生の舞台ってこんなに面白いんだって、身体が震えるくらい、心の底から感動しました(圧倒的に語彙力が足りない…!)
そして、その感動をきっかけに自分自身が「演劇」に興味を持ち…来春には、地元で行われる市民参加型のリーディング公演に参加することを決めました!
演劇なんて、小学校の学芸会以来になるド素人ですが…この挑戦をきっかけに、どんな風に世界が広がって行くことになるのか 今からワクワクしています( ´ ▽ ` )
今回のブログを拝見し、コメントするなら今だ!と思い勇気を出してコメントでさせていただきました。
私は玉置さんに影響を受け、背中を押していただいた一人です!
遠くからではありますが、これからも玉置さんの益々の活躍を応援しています!
初めまして。
ブログを読んでくださってありがとうございます。
そして何より、勇気を出して演劇の世界に踏み込んでくださったことに感謝します。
もう本当に、emaLATTEさんのような方がいて、こうして優しいお言葉を掛けてくださって、演劇で繋がって拡がってってのが嬉しくて嬉しくて堪らないのです。
演劇やっていて良かったと思える瞬間をくださってありがとうございます。
こうなった以上はいつか、舞台と客席ではなく同じ舞台上で会いましょう。
この世界は狭いですから、またいつか必ず出会うでしょう。
その時はどうか、よろしくお願いします。
まずは何より、そのリーディング公演が素晴らしいものになること、成功すること、そしてemaLATTEさんがその公演で充足することを祈って。