2021年06月12日

モノローグ

コロナ禍になって良いことがあった。

と言うと語弊があるかもしれないけど、一生懸命説明するので聞いてください。



それは端的に言うと『特別』がなくなったこと。

些細なことに感謝するようになったり今まで気にしなかったことを気にするようになったり、自分の中での価値観が大きく揺らいで変わって全てが平等になりつつあるということ。

何もかもが尊くなったり素敵だと思えたりして今では全部が特別だからそれがベースになって『特別』というものはなくなってきている。

気がする。


今現在、舞台の本番を劇場で、客席数50%という状況でも上演出来ているということは非常にありがたいことです。

これに関しては『特別』かもしれない。

だって様々な事情で上演を諦めた方々がいるから。

それを知ってるから。


つまり自分は演劇に於ける平等性を非常に重要視している、ということがより一層分かってきた訳だ。



以前にもこのブログに書いたから仔細は割愛するけどお客様の元に届けるということも、例えば誰も彼もが遠征をしないで済むように日本全国様々な場所で上演したいと常々思っていて、こればかりは平等性を欠いていて非常に申し訳なく思う。

と同時に、演劇というものはそれが尊ばれるべきものだということも分かってはいる。

即時性。

その場を共有することで手に入る高揚感。

そこに至るまでのお客様個々人のドラマももしかしたらその高揚感に対しての一助になっているかも知れない。

かと言ってそれを盾にして大手を振るのも自分的には気持ち悪いと感じている。


そこに光明が指したかもと一瞬思ったのは、オンライン配信での上演。

劇場でお客様を入れずに行われた公演の配信。

これなら『観る』ということだけに関して言えば大分平等になるのではないか。

誰もがどこにいてもネット環境さえあればその作品を観ることが出来るのだ。

ただ、やはり『共有』や『共犯』という面では劇場空間を共にしないと達成出来ないなと、個人的には思ってしまう。


俺が頑なにオンライン演劇に参加してこなかったのは物凄いわがままだし危ないことだけども、やはりお客様を目の当たりにして演劇をやりたいからという理由に他ならないのです。


今現在も遠征を伴う為に観劇が叶わないというお客様は沢山いらっしゃるでしょう。

その方々の為に俺が出来ることはいつか必ず会いに行くと言い続けること、その時の為に己を磨き続けること、そして良い意味で今目の前にいてくださるお客様を特別視しないこと、だと思っています。

劇場で観てくださっているお客様もいつか出会うであろうお客様も皆様一緒。

観てもらえたから感謝、は虫が良すぎるのでそうじゃなくても日々是感謝を捧げたい。

全ての人に。


改めて、それが当たり前になれば良いなと思わせてくれたことが、コロナ禍になって良かったことです。


良かったはやっぱり語弊がある気がします。

すいません。


ただただ痛感していることです。



柿喰う客の『無差別』という作品は、とある事象の前では神も仏も獣も人も無差別に、等しく無力にならざるを得ないというお話です。

昨今の状況を見ていると『無差別』のことを思い出します。



みんな等しく無力で、手を取り合って助け合わなきゃいけない。

自分のエゴを少しだけ我慢して願わくば誰かの為に費やしてみてほしい。

そこを超越するのは非常に簡単だからそれは最後の手段に取っといて、自分がぶっ壊れてしまいそうな時まで取っといて、今はどうか自分だけは特別にいいだろうなんて思わないでいて。


その特別は自分以外にも通用する特別とは限らないんだって、一度冷静になって考えてみてくれ。


じゃなきゃ我慢している人々が可哀想過ぎる。

真面目やってる奴が馬鹿を見るなんて一番悲しい。



俺はただ、全身全霊全力で、今出来る最善を尽くし切って演劇に従事し続けたいだけ。


いつか会いに行くあなたの為に。



俺自身も了見が狭くなってきている自覚があるので、ちょっと冷静になろうと思います。


あ、良かったこともう一個あった。


俺は演劇が大好きだしとっても大切だし演劇で誰かが幸せになるなら何だってする。

それが日に日に強くなっていてそう思えることが良かったこと。


これは語弊なく、間違いなく良かったことです。



乱文乱筆失礼しました夜分遅くに。

posted by 玉置玲央 at 02:09| Comment(6) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
玲央さん、こんばんは!

たくさんの想いを出してくださり、
ありがとうございます!

玲央さんが平等性を意識してくださること、
本当に常々嬉しく思っています。

演劇を遠征して観に行けない状況下で、
オンラインで観劇ができること。
劇場での共有や共犯は確かにできないけれど、もちろんしたいですけれど、
配信という観劇環境が増えたということは、
地方在住者にとっては大きな喜びではあります。

去年の柿喰う客の『夜盲症』も
今年の『滅多滅多』も、劇場に遠征をして足を運ぶことが叶わず、配信をしてくださり、楽しませていただき、より演劇を好きになっています。

演劇を好きで居続けられています。

伝えてくださるから、想いを届けてくださるから、熱意をネット環境で運んでくださるから、演劇の傍に居たいと思わせ続けてくれています。

それこそ、私自身はコロナ禍のおかげで、
演劇に触れることが出来ました。
せっかく得られたこの嬉しくて幸せな御縁を紡ぎ続けて居たいと思っていますが、
オンライン配信が無ければ、その御縁を温め続けることは難しかったかもしれません。

その点では、玲央さんがおっしゃる通り、
『観る』という点での平等性は増えたとおもいます。

しかし、やはり、『滅多滅多』も、
『夜は短し歩けよ乙女』も、劇場で受け取りたいのです。その思いはわたし自身としては、どれだけ『滅多滅多』を配信で毎日楽しんでいても、劇場で共有することに勝ることはないと思います。もちろん、SNSを通じて、共有する術も増えています。

が、と同時に、劇場に遠征できず、共有、共犯できない悔しさを感じてしまうのは否めないのです。

劇場で共有できる喜びを高揚感を、
去年の豊橋での『ゲルニカ』で知り、
演劇の力をみせつけていただきました。

それこそ、玲央さんがおっしゃる即時性やと思います。

劇場で共有したい、という思いもありますが、特に、今回の『夜は短し歩けよ乙女』。
『ゲルニカ』とは違い、配信予定は今のところ無さそうですね。。『ゲルニカ』は配信もあり、WOWOWでの放映もありました。
でも円盤化は。。
『夜は短し歩けよ乙女』はどうなるのでしょう。観劇された方の評判もとても良い。

観たい。という欲はエゴになってしまうのでしょうか。。

心に潤いを求めることはエゴでしょうか。。
自分の心に素直に動くことはエゴでしょうか。。

人は生きるために生きている。
その観点からいけば、観劇は贅沢やと思っています。

日々、生きるために必要なこと。

食べて寝る。それだけで、生きることは出来ます。生命を維持することはできると思います。

でも、きっとそれだけじゃつまらなくて、
豊かでないから、演劇があるのやと思います。

人間が自身の身体を使って産み出す芸術。
わたしはそれが演劇やと思っています。

きっときっと、太古の時代から、
人間が生きる潤いやったと思います。

そんな根源的な潤いを、
このご時世で、生きるために、いただきたい。それを生業とされている方にいただいたものを返したい。そうとも思ってしまうのです。

エゴでしょうか。。

今はエゴなのでしょうか。。

東京には行けないけど、大阪なら、
と思ってしまう自分が居て、チケットも取りました。もちろん、行けなくなる可能性は覚悟して。

玲央さんのブログを読んで、
自分の行動をみつめています。

情報が操作されていることを日々目の当たりにする中で、どう行動すべきか、どう受け取るべきか、常々、自分に問いかけ、したいように生きています。

我慢、をしているつもりはありません。

『夜盲症』も『滅多滅多』を諦めて、オンラインで楽しんでいることも、我慢をして決めたことではありません。
劇場に足を運ぶのは止めよう、と素直に感じたからです。『夜盲症』の時はものすごい葛藤に苛まれましたが、『滅多滅多』の時は、すんなり決めれました。


もし、わたしの命が自分の観劇予定その翌日まで、と分かっていたら、絶対観に行くと思います。大袈裟な話かもしれませんが。。

でも。。。

玲央さんのおっしゃる、いつか、を、
待ち続けるべきなのか、考えさせられています。

はて。。

どうすべきか考えたいと思います。
自分のために、最善を尽くします。

もう、『夜は短し歩けよ乙女』の大阪観劇に関しては、お伺いする予定でしたので。。


さて、お話は変わりますが、

コロナ禍以前に当たり前やったできごとが、できなくなって、当たり前のことが『特別』なことのように感じる今、やけど、コロナ禍がこの先、コロナ禍以前のように過ごせるようになったとしたら、物凄く幸福度は上がるんではないかと。当たり前やった些細なこと全てを幸せに感じ、感謝をたくさん持てるのではないかと。

それこそ、演劇に関わらず、
人と本当の意味で会えること。
そんなささやかなことも幸せで仕方ないことなのやと。
人と笑い合って、たくさんお話して、
ごはんが食べられること。
きちんと表情をみれて、会話ができること。

当たり前のことが如何に幸福なことやったのかと。

このご時世が落ち着いたら、
幸福度が上がる世の中になっていて欲しいと願うばかりです。

こちらこそ、乱文乱筆、失礼いたしました。。

今日も良き日を!

おやすみなさい!
遅番出勤まで少し寝ます☺
Posted by funkybeats at 2021年06月12日 05:15
玲央さん、ごめんなさい!

大好きな『無差別』のこと。

等しく無力。

本当に、このご時世そう思います。

大好きな『無差別』。
何回も何回も観ています。

このご時世になって、何度も思いました。
『無差別』と同じやと。

では。。失礼いたしました。
Posted by funkybeats at 2021年06月12日 05:23
玉置さんのおっしゃる通り「共有、共犯」の関係性は映像だと薄まる気がします。
劇場、役者、スタッフ、客の熱量が生き物となるあの空間は、映像だと情報が圧縮されていて個人的に物足りなく感じてしまいます。

ドラマだと全く感じないのに不思議だなと毎回思います。映像作品として作られているからでしょうか。

映像は残らない。
DVDにもならない。
見に行かないと一生見れない。
そんな時代を生きて来たので、映像が残る、見れるというのは本当にありがたい。
と心の底から、間違いなく思いはするのですが、やはり実際劇場で見た作品と、映像だけでしか見てない作品への愛着度は天と地程の差があります。

でも、音楽をBGMに仕事や作業するように、演劇をBGMにしながら仕事や作業する手軽さもあったら贅沢で素敵な事だなとも最近思いました。


この間地元で好きな舞台があり仕事終わりに見に行ったのですが、新幹線や飛行機に乗らず自家用車でサーッと行ってサーッと帰れる手軽さに感動しました。

でも大都市でしか上演されない作品を見に新幹線や飛行機に乗り継いで劇場まで行き、何がなんでも絶対に見る!という気持ちで集まった同じ作品、舞台好きの全国の人と繋がれたのも財産だなと思います。

柿の配信みたいにチャットで参加できるのも楽しいですし...

なんだか伝えたい事がわからなくなってきました...制作側、客、両方に負担かかりすぎず、深くも浅くも色んな体験方法が選べたら有難いなって思います。何事にもその人ごとに、メリットデメリットありますから。

いつも誤解を恐れず、真っ直ぐな言葉を書いて下さって救われてます。勿論、舞台上、映像の玉置さんにも。
長々とすみません。客として自分に出来る最適解を無理せずやって行きますね。
コロナもですが、熱中症等にも気をつけてご自愛ください。
Posted by ひとみ at 2021年06月12日 14:36
いかなる偏見も脚色もなく
素朴に見つめ。

一人芝居を観ているような想いが
伝わってきました。

遠い街からですが応援しています。
Posted by はちょこ at 2021年06月12日 21:43
突然のコメント失礼致します。
私、松永企画の松永と申します。

玉置様をいまさらキスシーンの一人舞台や、ほかの観劇三昧に載っているものでしか、観たことがなく、それでも僕の中で演劇人生に大きな変化を与えていただきました。

そしてその中で、舞台をやっていて、玉置さんを尊敬しているだけでは僕の思う1役者にはなれない気がし、玉置さんに観ていただける役者になろうとふと考えつきました。

この度、中屋敷様の「いまさらキスシーン」僕の価値観、やりたいこと色んなことが変わった台本を6月12.13日に演じさせていただきました。

映像配信を近日公開予定のため、玉置さんに是非、ご観劇頂ければと思っております。

突然で、大変失礼な文章申し訳ございません。
もしよろしければ、お返事よろしくお願いいたします。
Posted by 松永和真 at 2021年06月14日 22:44
私はこのコロナ禍では、我慢我慢の連続です…自分の楽しいと思える出来事の半分以上奪われました。舞台を観劇するというのもその一つです。
TMOをきっかけに演劇の楽しさを知って、観ると言うよりは、同じ空間で物語を体感すると言うような不思議な世界に引き込まれて、自分の置かれている辛いことなどを一瞬忘れて、現実逃避できました。あと、とにかく演者さんと近くて演技を間近に観れる事がなんて幸せなんだって思わせてくれました。今はソーシャルディスタンスで、距離を取らなくてはならないから、今、観劇をするとどんな感じなんだろう?と想像できません。でも、このブログにもあるように『必ず会いに来てくれる』と信じて頑張ろうと思います。コロナのせいで色々大変ですが、コロナ禍で自分に何が出来るが、何を楽しめるか見つけたいと思います。コロナが落ち着いたら…っていつも言っていたのですが、そうすると落ち着かないと何も出来ない事に気が付きました。コロナのせいにせず、自分は何がしたいのか考えます。大変な事が沢山あるかもしれませんが、頑張ってください。私は玲央さんの強い味方です。
Posted by ガマロ at 2021年07月09日 15:37
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